ドンッ
「キャッ・・・。ごめんなさい。」
「こっちこそ、ごめんね!」
龍とはぐれないように、気を付けていたら、
激しい人混みのせいで男の人とぶつかってしまう。
スッ。
「え?」
「・・・はぐれたら面倒だからな。」
フイッっと顔を逸らしながら無愛想にそう言った龍の横顔は少し照れているようで・・・。
「ふふっ。ありがと。」
龍のその姿と繋がれた手に澪の心は大きく揺れて。
そして。
龍と2人で見た花火は凄く綺麗で。
途中、下から見上げた龍の横顔も凄くかっこよく見えて。
そんな澪に気付いた龍が
「花火、見ねーのかよ。」
って笑って、
「・・・綺麗だな。俺、お前と見れてよかったわ。」
なんて言って、
・・・凄く凄く優しい顔で笑った。
「・・・うん。私も。」
澪の顔にも自然に笑顔が溢れる。

