パタン

龍が出ていき、1人残された澪。

(どうしよう・・・!私のファーストキス・・・。)

実は澪は、モテるが誰とも付き合ったことがなかった。
高校までは女子校だったし、もちろん毎日のように声を掛けられたり告白されていたけど、澪自身は相手のことを何とも思っておらず、丁重に断っていた。
それは刑事になってからも変わっていなかった。

(いや、でも私覚えてないし、龍は薬を飲ませてくれただけだもんね!
うん、これは看病。キスじゃない。ノーカウント。)

心の中でそう唱える。

ガラッ

「食べられそうか?」
「う、うん。」
「・・・どうした?顔赤いぞ。また熱上がってきたか?」

と手をおでこに持ってくる。

「だ、大丈夫!大丈夫だから!」
「そうか?ならいいけど、無理すんなよ?」
「うん・・・」

龍の作ってくれたお粥を食べる。

(美味しい・・・)

龍は洗い物までしてくれた。