弱くなった雨の中、急いで車へと戻る。
男は気を失っていて、龍に担がれている。

「あー。6月下旬とはいえ、ドレスに雨は流石に寒いわ
。」

車に入るなり呟く。

「お疲れ様!澪ちゃん!
応援来てるんだけど、私一旦、中の竜也くんの所行かなきゃいかなくて・・・すぐ戻ってくるからね!」

と華が車を降りる。

「とりあえず一件落着。かな。」

ハックシュンッ!

(あー。寒いかも。着替え、中じゃん。でも今は着替えとか取りに行ける状態じゃないか。後で華に取ってきてもらおう。)

そう思っていると、男を捜査員に引き渡した龍が入ってくる。

「お疲れ」
「おう、お前もな。」

と、パサッと何か掛けられる。

「流石にその格好に雨かぶったら寒いだろ。着とけ。」

(龍のスーツ・・・)

「龍にも優しいとこあるんだね。ありがと。借りるね。」
「中からタオル取ってきてやる。」

そう言って龍は車から降りる。

「ふふっ。クソ男のくせに優しいとこあるんだ。」

澪は心が少しあったかくなるのを感じた。
それから、本庁に戻れたのは1時間も後だった。


「あー。さむい」
帰宅して、冷えきった体をお風呂で温める。
「上着、きちんと乾かして返さないとね。」

ハックシュンッ

(明日も仕事だ・・・早く寝よう。)

お風呂から上がり、すぐにベッドに入った。