腕を組み、私と同じく明希ちゃんに視線を向けている隣の虎太郎さんに声をかける。
「虎太郎さんは、いつも希紗ちゃんのお迎え、一緒に来てるんですか?」
そっと沈黙が破れると、虎太郎さんは正面に顔を向けたまま口だけ動かした。
「一緒に登下校してるからな。
たまにふたりでお迎えにも来る。
明希はこの園でも人気だから、時々こうして子どもらと遊んでやってるんだ。
保育士からも助かると言われている」
空がどんよりとした鉛色に染まり、空を覆う雲は子どもがクレヨンで描いたかのように厚い。
ああ、今にも雨が降りだしそう。
「……虎太郎さん」
「なんだ?」
「明希ちゃんは、どういう人ですか?」
「優しい」
ドドンと効果音でも聞こえてきそうな威厳のある声で、虎太郎さんが一言答えた。
「優しい……」


