「たのしいっ? ヒロちゃん」
希紗ちゃんの力では、高校生の私が乗ったブランコはほとんどと言っていいほど揺れない。
だけど、胸に懐かしさが込み上げてくる。
大が背中を押してくれて、「あははっ」と声をあげながら、顔全体に風を受けていた、あの日の懐かしさが。
「うん、楽しい」
あれほど硬かった自分の声が、優しさを纏っていることに気付く。
「えへへ〜っ。希紗もたのしいっ!」
小さな両手が背中に当たる。
そして精いっぱい、押してくれる。
背中に感じる希紗ちゃんの手が、大の手と重なって、胸がじんわりと熱を持った。


