昔、私もこうしてブランコによく乗った。
そのたび、こうして背中を押してくれたのは、わたしと大して背の変わらない大だった。
つい昔に思いを馳せていると、「ヒロちゃんヒロちゃんっ」と私の名を呼ぶ希紗ちゃんの声に、はっと意識が現実に引き戻された。
「どうしたの?」
「つぎは、希紗がヒロちゃんのことおす!」
「え?」
ぴょんっとブランコから降りたかと思うと、希紗ちゃんが私の手を引いてブランコに座らせる。
「ヒロちゃん、のっててね!」
「でも、重いから」
「だめだめっ。
ヒロちゃんもブランコたのしかったら、希紗うれしいの」
そして、私の背中を両手で押す希紗ちゃん。
ブランコが揺れて、ふわっと顔に風がぶつかる。


