「ん? なんだろ」


落ちた瞬間を見ていた女子が、しゃがみこみ、そのなにかを拾う。


──それは、昨日私が明希ちゃんにあげた、四つ葉のクローバーだった。


なにも知らない女子は、まじまじとクローバーを見つめ、そして怪訝そうに首を傾げた。


「これ……クローバー?
弘中くんの?
形悪いし、しなびてるし、捨てちゃっていい?」


彼女の言葉に、あ、と思ったのもつかの間、明希ちゃんが口を開いた。


「あー、いーよ」


──え?


まるで、なんの思い入れのない道端の草を捨てるときかのような、そんなトーンで明希ちゃんはクローバーを捨てることを了承した。