旧校舎の周りは整備があまり行き届いていないから、多くの草が思う存分葉を茂らせている。

一面に広がる緑に視線を落とした私は、ふとあることを思いだした。


「あ、そうだ。明希ちゃん」


「ん?」


私の声に、明希ちゃんが体を離す。


私は明希ちゃんの方に体を向けながら、スカートのポケットを探った。


そして、取り出した白いハンカチを広げる。


「明希ちゃんに、これ」


ハンカチに挟んでおいたのは、四つ葉のクローバー。


「え?」


「私からも、幸せのお返し」


虹の写真を送ってくれた明希ちゃんに、私もなにか返せないかと思っていたら、登校中にクローバーの茂みを見つけ、1時間ほど掛けてこの四つ葉のクローバーが見つけだしのだ。