「な、弘中くんっ……?」


「なんで弘中くんが……っ」


みんな、突然明希ちゃんがやって来たことに驚いている。

だけどそれは私も例外ではなくて。


「ちっ、違うの、弘中くん。
私たちはほら、この子が弘中くんのことそそのかそうとしてたから、弘中くんのために注意してあげようと思って」


明希ちゃんの登場は想定外だったのだろう。

必死に目を白黒させながら、嘘をあげつらって弁明する先輩。


だけど、降ってくる明希ちゃんの声は冷静だった。


「気持ちはありがたいけど、俺が一緒にいたい子は、自分で決めるから」


「でも……っ」


なおも食い下がろうとする先輩。


と、その時、不意に明希ちゃんが私の肩を抱き寄せた。そして。


「あー。あと、言い忘れてたけど、この子俺の彼女なんだ」


さらりと、なんてないことを告げるかのように、そう言い放った。