「えーっと、カメラ、は……」


慣れていない手つきでスマホを操作してカメラを起動し、自撮りするようにスマホを構えたかと思うと、私の肩に手を回した。


「ほら、ヒロも」


「え……」


ぐっと肩を引き寄せられて、体が一気に近づく。

その距離、0センチ。


甘い匂いが、鼻をくすぐった。


「はい、ちーず」


パシャリと音を立てて、カメラが仕事をしたことを伝える。


肩が離れ、スマホを確認した明希ちゃんが笑う。


「ヒロ、笑うの下手だなあ」


さっき撮った写真を見せられると、たしかにそこに映る私は真顔。