「もう離さないから。
ずっと想ってくれてたのに、今まで我慢させてごめん」
「ううん……っ。明希ちゃんのことが好きだから、全然我慢なんてしてない」
「待っててくれて、ありがとう。
やっと君に出会えた気がする」
涙声でそう言いながら、耳元で明希ちゃんがくしゃっと破顔したのが分かった。
「明希、ちゃん……っ」
明希ちゃんは記憶がない分の１秒１秒を埋めるように強く抱きしめ、そして体を離すと、私の頬を両手で挟み込むように持ち上げ、潤んだ瞳に私を閉じ込めた。
「泣き虫な未紘の涙をすぐに拭えるように、これからもずっとそばにいて」
「うん」
まつげを絡ませ、額を重ねて笑い合う。
視界いっぱいに映る彼の笑顔があどけなくて綺麗で、私は心を満たす幸福感に打ち震えた。
