小林先輩がなにか面白い話題でも口にしたのか、体を軽く曲げて彼女の話に耳を傾けていた明希ちゃんが、目を細めてくすっと笑う。


……こんな時、思い知らされてしまう。

明希ちゃんと私の間には、共通点も、目に見える関係もないのだということを。


こんなにも、遠い。


「おーい、未紘?」


落としていた視線の先に、不意に私の顔を覗き込む加代子ちゃんの顔が写り込んできた。


……まずい。意識が完全に明希ちゃんに向いていた。


「ごめん。なに?」


「冬休みだけどさ、あたしん家でたこパとかどうよ」


「たこパ?」


「たこ焼きパーティー。
たこ焼き器で、たこ焼き作るんだよ」


「うん、いいと思う」


「おっし、じゃ決まりな」


私は、うまく笑えているだろうか。

たこ焼きパーティーは楽しみなのに、私の胸に生まれた黒い感情が、あっという間に私のこころを覆い尽くしてしまっていた。