「お! やった〜。なにする?」


「ゆ、雪合戦とか?」


「ぷははっ。雪合戦とか小学生かよ」


う、笑われてしまった。


友達と遊んだことがないから、普通というものが分からない。

なんて言えば正解だったのだろう。


と、その時。


「──明希ちゃん!」


突然どこかから聞こえてきた声に、反射的に耳が反応した。


慌てて視線を彷徨わせれば、前方の人だかりの中に、見慣れたミルクティー色の髪の後ろ姿を見つけた。


そんな明希ちゃんに人混みを縫って駆け寄る、さっきの声の主。

もちろん、小林先輩。


記憶障害のこともあり、今までは人との接触を避けるため、こうした集会には参加していなかったから、まさかいるなんて思わなかった。