「楽しかった? 私のこと弄んで……。
ひとりぼっちで失恋中の嫌われ者なんて、つけ込むの簡単だったでしょ!?」


「え?」


「こんなに、こんなに大切に思ってたのに……っ。
心を許してたのに……。
浮かれた自分が馬鹿みたい。
もう顔も見たくない……!」


感情を明希ちゃんに思い切りぶつける。


涙でぼやけた視界に映る、明希ちゃんの動揺した表情。


……ねぇ、どうして?

どうしてこうなっちゃったの?

胸が苦しいよ、明希ちゃん。


いろんな感情から逃げ出すように、踵を返して駆け出そうとした、その時。

──バタッ。

背後から聞こえてきた音に、私の足は思わず止まっていた。


「え?」


反射的に振り返った自分の目が、みるみるうちに見開かれていく。