現実から逃げるように走った。

大通りから離れるように、細い路地を曲がる。


と、不意に、ぐいっと後ろから手を掴まれた。


反射的に振り返れば、そこには私の腕を掴む明希ちゃんがいて。

私の手を掴む明希ちゃんの手は、4時間も外にいた私と同じくらいかそれ以上に冷たい。


残酷な痛みに胸が締め付けられ、行き場のない怒りと混乱が爆発する。


「なんで……っ!」


「──、君を傷つけたくないと思った……っ」


「え……?」


わけが分からないよ。

私が知ってる明希ちゃんは、もういないんだ。


「離して……っ」


涙声を張り上げ、思い切り腕を振り払った私に、明希ちゃんが驚いたように目を見開く。