私と大の家は、高校から見て人どおりが少ない方面にある。


高校の近くは駅もあって賑わっているけれど、一本道を外れれば、閑静な住宅街。

特に下校の時間になると、ほとんど車も人も通らない。


私は今日もそんな帰り道を、数歩先を行く大の後ろ姿を見つめながら歩く。


小学生の頃まではずっと同じような背丈だったのに、中学生になった頃から、大の方がグンと大きくなって、いつの間にか見上げるほどになっていた。


今はもう背の伸びが止まってしまった大の背中に向かって、ぽつりと声をぶつける。


「ねぇ、大。私ね、男子の先輩と知り合ったの」


大は聞こえないとでも言うように、こちらを振り向かずに歩みを進める。


こっちを向いてよ、大。