「明希ちゃん」


「ん?」


頭を手で支えるようにして、こちらに顔を向けた明希ちゃんが微笑む。


私は口元まで持ち上げた掛け布団をきゅっと握り、暗闇に染まる天井に向かって声を紡いだ。


「私、17年間生きてきて、今が一番幸せかもしれない」


こんなに毎日が色鮮やかで、毎日いろんな感情を覚えて。

それは全部、明希ちゃんに出会えたからだ。

心から湧き出てくる感情に素直になった私は、こぼれた笑みを明希ちゃんに向けた。


「私に出会ってくれてありがとう」


すると、不意をつかれたように明希ちゃんの瞳がわずかに見開かれる。

そして次の瞬間、反応する間もなくぐいっと頭を引き寄せられ、私たちの距離はゼロになっていた。


明希ちゃんの胸元に鼻先が当たり、甘い香りに包まれる。


「あき、」


「……そんなふうに言われると、離したくなくなる」


頭に口を寄せるようにして放たれた声に、ドキンと心臓が揺れる。


でも、それならそれでいいと思った。

明希ちゃんの熱に包まれていられるのなら。


こんな、理性とはかけ離れた、なりふり構わない感情が自分にあるなんて、思いもしなかった。


明希ちゃんの温もりは痛いくらい優しくて、居心地が良くて、私は気づけば明希ちゃんの腕の中で眠りに落ちていたのだった。