シングルベッドは、ふたりで横になるとだいぶ狭い。


「希紗ちゃんは大丈夫?」


「母さんが帰ってきてから出てきたから大丈夫」


「風邪、移らないかな」


「まぁ、もう今更なところあるよね」


私は温もりがほしくて、明希ちゃんの足先に足先を擦り合わせた。


「明希ちゃんの足、冷えてる」


すると、仰向けになっていた明希ちゃんが目元に手を当てる。

そしてほんのり耳を赤く染めて、手の陰から抗議するように私を見つめた。


「あんまり煽らないでほしい。
これでも超抑えてるんだよ、俺。
ヒロが俺と同じ気持ちになるまで、紳士な明希ちゃんでいたいんです」


明希ちゃんと、同じ気持ち……。


「さ、風邪っぴきちゃんはもう寝なさい」


私の思考を遮るように、ぽんぽんと布団の上から軽く叩かれる。

明希ちゃんのお兄ちゃん気質が垣間見えて、くすぐったい。