「……っ」
目の前に広がる、明希ちゃんの不意を突かれた驚いた表情。
一気に上ってきた顔の熱を自覚しながら、触れるか触れないかの口づけののち、私はそっと唇を離した。
「……お礼、だから」
咄嗟に視線を外して、そうつぶやく。
まさか自分が、こんなことをするなんて。
全部、この熱のせいかもしれない。
熱に浮かされて、思考が多分、正常じゃない。
乗り出した体を、また床に落ち付けようとした、その時。
手首を掴まれ、くいっと顎を持ち上げられる。
「俺からもキスしていい?」
「え──」
あまりに熱のこもった視線で見据えられたかと思うと、返事をする隙も与えず、次の瞬間、唇が奪われていた。
「……っ」
明希ちゃんに求められていることを、唇が直に感じてしまう。
自分からしたキスとは、全然違う。
心臓が狂ってしまいそうだ。
耳が発火したかのように熱い。
「もう一回」
一度唇が離れたかと思えば、息をつかせる間もなく、またキスが降ってくる。


