〝ファン一号くん〟は、明希ちゃんにそっくりで、明るく染められた髪が目を引く綺麗な人だった。

たしか、明希ちゃんより少し髪が長かった気がする。


土手で歌っていると、毎日遊びに来てくれた〝ファン一号くん〟。


──あの日も、私が先に土手にあるベンチに座って待っていると、やって来てくれた。


『やっほ。また来ちゃった』


『あ! 〝ファン一号くん〟』


聞き慣れたその声に、笑顔で〝ファン一号くん〟を見上げる。

私の背後に立ちこちらを見下ろす彼の髪が、日に当たって金色に光って見えた。


2歳しか変わらないはずなのに、〝ファン一号くん〟はすごく大人っぽい。

浮世離れしているというか、普通の人とは纏うオーラが違うというか。

とにかく、綺麗じゃない瞬間が見当たらないのだ。


そのキラキラは少し近寄りがたくて、〝ファン一号くん〟から声をかけてくれなければ、多分一生交わることなんてなかっただろう。