「大の分も生きていかなきゃ……」
自分に言い聞かせるように、嗚咽の狭間につぶやく。
すると、私の手の甲に添えられたおばさんの手に、ぐっと力がこもった。
「大のことを覚えていてくれるのは嬉しい。
でもね、大に縛られ続けていくことは、きっと大だって望んでないし、私も望んでない」
思いがけない言葉にはっとして顔を上げれば、切実な表情のおばさんの顔が、涙の膜の向こうに見えた。
「おばさん……」
「素敵な人と巡り会って、大の分も幸せになって、未紘ちゃん」
それは、どんな大人の言葉よりも深く胸に刺さった。
大のお母さんの言葉だからだろうか。
傲慢な考えかもしれないけれど、おばさんの言葉を信じたいと思った。
「……っ、はい……っ」
握りしめたピックに大の温もりを感じながら答えると、おばさんが今日初めて表情を崩して笑った。
切れ長の瞳を線になりそうなほど細め、眉尻を下げるその笑顔を見て、大はお母さん似だったということを思い出した。


