「う、う……」
「ねぇ、未紘ちゃん」
ごしごしと涙を拭いていると、テーブル越しに両手を伸ばしてきたおばさんが、もう一方のピックを握りしめる手に、自分の手を添えた。
「未紘ちゃんはどうか、歌っていてほしい。
未紘ちゃんの歌声は、大が一番大事に思っていたものだから」
「……っ」
ずっと、大の気持ちなんて考えてなかった。
『また月曜な』といったあの時、月曜日が来ると信じて疑わなかった大の無念さなんて、これっぽっちも推し量ろうとしなかった。
大だけじゃなく、おばさんだってこんなに苦しんで悲しんできたのに、私ひとりがつらくて悲しいんだって、まわりの声をシャットアウトしていた。
大が生きられなかった明日を自ら捨てるような行為、大が知ったらどれだけ悲しむだろう。怒るだろう。
私はずっと、大を裏切ってきたのだ。
痛かったね。怖かったよね。
助けてあげられなくてごめんね。


