「……大……っ」
熱いものが急激にお腹の底から込み上げてくる。必死にしばしばと目を瞬かせても、その気配は遠慮を知らずに迫ってくる。
「大、いつも言ってたんだよ。未紘の歌声をもっと多くの人に届けたいって」
もう、限界だった。
――その言葉を聞いた瞬間。それまでずっと耐えていたものが爆発して、行き場のなかった感情が口を突いてこぼれていた。
「な、んで…………なんで死んじゃったの、大……っ」
そして気づけば、堰を切って溢れだしていた涙が頬を熱く濡らしている。
「早すぎるよ。
突然置いていかないでよ。
同じ高校行こうって言ってたのに……っ。
ずっと一緒だと思ってたのに……っ!」
ピックを胸の前で握りしめ、前屈みになって、涙声を張りあげる。
事故以来、大のことで泣いたのは初めてだった。
感情が津波のように押し寄せてきて、心の内には収集しきれない。
話したいこと、ふたりでやりたいこと、数え切れないほどあるのに、どんなに願ってももうなにひとつとして叶わないのだ。
ずっとふたりで音を奏でていたかった。
もっとふたりでいろんなところに出かければよかった。
喧嘩した時素直に謝っておけばよかった。
いつだって失ってから後悔する。
「本当にね……。
親不孝者で幼なじみ不孝者だよ、あの子は」
静かにつぶやくおばさんの声も濡れていた。


