「事故に遭った日、大が持っていたバックの中にこれが入っていたの」
「え……?」
差し出された小包を受け取って見ると、可愛らしいストライプの包装紙に、細かいことはあまり気にかけない大らしく、ボールペンで大きく『未紘へ』と書いてある。
久しぶりに見た大の直筆に、くっと胸が締まる。これを書いた時、大は生きていたのだ。
その字は、大がたしかに生きていた証拠にも思えた。
愛おしむように大の字を指先でなぞっていると、おばさんが柔らかく柔らかく語りかけてくる。
「お通夜の日、未紘ちゃん誕生日だったんだよね。
買ってきた帰りなのか、いつ渡そうかタイミングを見計らっていたのかわからないけど、すごく大事そうにバックの中に仕舞われてた」
「開けても、いいですか」
「もちろん」
言い知れない緊張からか暴れる心臓の音を聞きながら、ゆっくり小包を開封する。
そして中身を目にした瞬間、あまりの衝撃に息をのむ。
中身は新品のピックだった。そしてそこに油性マジックで書かれていたのは。
『世界一の歌姫にしてやる』


