緑とグレーのツートーンの庭を抜け、いよいよ玄関の前に立つと、急激に怖さが込み上げてきた。今からでも逃げ出したい衝動に駆られる。
――大の死を目の当たりにしたら、私はいったいどうなってしまうのだろう。
このチャイムを押したら、もう後戻りはできない。
不安に苛まれようとする思考をできるだけ取っ払い、勇気を奮って何度も押したはずのチャイムのボタンを押せば、呆気なくチャイムが鳴り響いて、それに反応するように家の中から音が聞こえてきた。
そして心臓が喉から飛び出してしまいそうになったところで、ドアが開く。
「はい――未紘、ちゃん……?」
ドアの前に立つ私に驚いたのは、大のお母さんだった。
記憶の中の快活なおばさんよりも、痩せてひとまわり小さくなってしまった気がする。
目元に刻まれたいくつもの小さな皺は、おばさんが重ねてきた年月を感じさせる。
「お久しぶりです、おばさん」
「本当、久しぶり……。
こんなに素敵なお姉さんになって。
元気そうでよかった」
「おばさんも。
今日は、大のお仏壇に手を合わせたくて来たんです」
「え?」
私が大の死を拒絶した四年前のことがよぎったのだろう。
おばさんの表情に驚きの色が滲む。
「ずっと目を背けて逃げてきたけど、もう逃げたくないって思ったから」
「そう……。とりあえず、上がって?」


