今、明希ちゃんとの偽の恋人関係は、大が亡くなっていることを明かしたことでその役割を成さなくなり、自然消滅状態にある。

そのためまわりからは、特に何事もなく付き合いは継続していると認識されているのだろう。


友達が少ない私が、別れたと噂を流せるわけもない。


なにか解決策はないかと頭をフルに回転させながら、騒がしい教室に足を踏み入れた、その時。


「加代子〜! この前の片想い成就カード、すごいよ!
昨日突然連絡きて、一緒にご飯行くことになった!」


喧騒の中から突然聞こえてきた女子のクラスメイトの声に、私の耳が目敏く反応した。

思わずドアの前で足を止める。