死のうとしていた数時間後、こんなにも前を向けているなんて。

きっと、昨日の私に言っても信じてもらえない。


「……ねぇ、明希ちゃん」


「なに?」


「明希ちゃんは、毎日明日を迎えるのが楽しみ?」


答えは予感しながらも、その光に手を伸ばすみたいに、つい聞かずにはいられなかった。


すると、明希ちゃんは口元の力をふっと抜き、そしてなんの迷いもない晴れやかな笑顔を浮かべた。

私はそこに、空にはないはずの朝陽を見た気がした。


「楽しみだよ。
コタと希紗と、そして君に会えるんだから」


そんなふうにまっすぐ言われたら、明日を信じざるをえなくなる。

明日に期待することはきっといいものなんだって、そう思わずにはいられなくなる。


それにもし明日に裏切られても、多分その次がある。

生きている限り。


「明希ちゃんの名前、」


じんわりこぼした声を、明希ちゃんが拾い取る。


「ん?」


「〝明〟日の〝希〟望って書いて、明希って言うんだね。
すごく、すごく、あなたにぴったりだ」


明日の希望を教えてくれた彼の、名前という象徴。


……すると微かに、彼の瞳の水面が淡く揺らめいて。


「なんかすごく今、自分の名前が愛おしくなった」


明希ちゃんは目を細め、こっちが泣きそうになるくらい綺麗な笑みを咲かせた。



──『泣いたっていいよ』と明希ちゃんは言ってくれたけど、もしまた泣けるようになったなら私はこの人のために涙を流したいと、そう思った。