「兄貴は、君のファン一号だったの?」 「私の歌を初めて褒めてくれた人、です。 河原で歌ってたら、毎日聴きにきてくれて」 「君が見た兄貴は、どんな感じだった?」 静かに問いかける彼の声が、心なしか穏やかさを増したような気がする。 私は微かに目を細め、脳裏に〝ファン一号くん〟との思い出を思い描く。 「すごく素敵な人でした。 『また聴きにきちゃった』なんて言って、すごく嬉しそうに笑うの」 「兄貴は、君の歌声が大好きだったんだね」 「そう、だといいと思います」