それから列は進み、前に並んでいたカップルの順番になった。

ふたりは絵に描いたような幸せそうな笑顔を浮かべて、ピースしている。


「撮りますよー!」


そんなカメラマンの明るい声が聞こえたあと、パシャッとシャッター音が鳴った。


「うわ、シャッターの瞬間目つむっちゃったかも」


「はは、ばーか」


焦る彼女の頭を、彼氏がからかいながらもぽんと撫でる。


と、その瞬間。

『未紘はまったくばかだなー』

彼女に笑顔を向けるその横顔が、一瞬記憶の中の大の笑顔と重なった。


口は悪くても、その眼差しはいつだって優しくて──。