「わかってただろ、こうなることは」


いつもの突き放す言い方とは違う、落ち着いた、そして言い聞かせるようなその声音を聴きながら、私はがくんと項垂れた。


返す言葉も見つからない。


大と映画なんて、行けるはずない。

そんなことは、痛いほどわかってた。


明希ちゃんの顔が、ふと脳裏に浮かんだ。

『頑張れ』そう言ってくれた、さっきの明希ちゃんの温もりに包まれた笑みが。


さっきまでは聞こえなかった、グラウンドで部活動をする野球部の声が、窓の外から聞こえてくる。

カチンコチンと、教室に設置された時計の針の音が教室に響く。


項垂れる私のまわりを、恐ろしい勢いで時間が動きだした。