「ごめんね、思ったより花壇の手入れ時間かかっちゃって」

眉をハの字に下げて謝る孝太郎くん。


全然怒ってないんだけど、ていうか花壇の手入れで遅くなったってまったく怒らないんだけど、さっきほかの女の子に見られていたのがなんだか悔しくて、ちょっとだけ困らせたくなった。

そこでわたしは、ふいっと彼とは違う方向を向く。


「寒かった…」


これは本当だ。今は12月、マフラーをしていてもとっても寒い。


「えっ!ごめんね、大丈夫!?」


ああ…かわいいなあ。
あたふたしながらわたしの心配をする彼。


「一人で寂しかったんだよ?」

これ本気で言ってたらすっごいめんどくさい女だよね。
まださっきの女の子の影がわたしから消えない。

ほんとうなら、わたしの彼氏見てんじゃないわよ!ぐらい言いたいけど、さすがにあれなので言わない。


「ほんとうにごめんね。どうしたら許してくれる…?」


真剣に聞く彼、これで最後の意地悪。

「……キスしてくれたら許す…」


わたしって本当にめんどくさい。

嫌われる前に冗談って言わないと…。