「あなたがウリエルさん？」
若い女性がウリエルの目線に合わせて声をかける。どうやらスズラの母のようだ。
「…はい。」
「御両親わ？」
「…死にました。たぶん。」
「!?…たぶん？どういうこと？」


ウリエルは簡潔に、
いまの自身の状況を告げた。
「記憶がない…か。いいわ、とりあえず家にいらっしゃい！」

「…え？」

「見たところずっと眠っていたわりには
ちょうどいい肉付きね、
でも体の成長が
すすんでいないのが問題かしら。
まるで体ごと眠っていたみたい。」

「…。」

「いいわ！あたしに任せなさいな！」

ウリエルの腕を引きうちに入る。

「言い忘れたけど、あたし
サザンナ・サロナ。あの子はあたしの一人娘なの。仲良くしてやって！」

スズラは愛らしい笑顔で会釈をしてきたためウリエルも慌てて返した。

「あたしはね、治癒使なの。って言ってもわかんないか、簡単に言えば人の体を治す存在。きっとあなたにも何らかの力があるはずよ。まぁそれはおいといて、」

そう言うとサザンナはウリエルの額に自身の額を合わせ、呪文のようなものを唱えた。
ウリエルには天使の唄声にも聞こえた。

するとみるみる体が成長していき、やがてとまった。

「どうやらあなたは11歳のようね、体の成長の限界がきたから間違いないわ。にしても綺麗な白髪ね。シルクみたい。」

ふわりと触れたサザンナの手は本当の母のように暖かく感じた。

「……なぜ、良くしてくれる。私他人。」

「んー。なんでかなぁ。ほっとけないから、かな？」

この人はきっとお人好し、

というやつに間違いない。

私はこれからこの2人と生活を共にするのだ




















そう思ったのだが、、。
















彼女に襲いかかる悪夢は、

着々と足を進め、

だいいちの悲しみはすぐ

目の前にまできていた。

彼女はまだそれをしるよしもない。