優しい君は今日も嘘をつく




ここで引いてしまったら。


もう一生幸也を縛り付けて傷つけてしまうんじゃないかっていう考えが芽生えて。


「樹先輩に勉強を教えてもらいたいなって思ったんです。」


私の言葉に樹先輩は目を見張っていた。
そりゃそうだよね、仮にも相手は男だ。


だけど樹先輩は女を作らないで有名な軽いイメージの人だったから。


多分本気で恋とかしないんだろうなと勝手に思い込んで


私のことは1人の後輩として、きっと軽い気持ちで了承してくれると私は甘い考えでいたんだ。


「……いいよ。」


樹先輩は少し間が空いた後にそう言ってくれた。


だけど、この結果。


これをきっかけに樹先輩を傷つけることになるなんて、この時の私はまだ知らなかった………。