優しい君は今日も嘘をつく




ーー練習終わり


私は片付けをしていた。


水道で雑巾を洗う中、暑いこの時期だったけど水は冷たく心地いい。




………1人だと、余計に嫌なことを考えてしまうな。


マイナスなことを考えてしまう。


そんな時……


体育館の片付けを終えた先輩たちが部室に向かって歩いていた。


その中に樹先輩もいて、声が聞こえてくる。


そして、千波ちゃんの言葉が私の頭の中で再生されて………


『美晴ちゃんが樹先輩に教えてもらう?』
『樹先輩に気があるってことじゃないんですか?』


好きな人のために必死になること。


それが私には足りなくて、いつも言い訳ばかりして幸也を傷つけて………


もう限界だったのかもしれない。
罪悪感からだったのかもしれない。