優しい君は今日も嘘をつく




その時、俺はその瞳に捕らわれた気分になった。


もう、自分からは視線は外せない。


美晴の考えは俺にはわからなかったが、向こうも動こうとはしない。


その時、その瞬間。


気づけば俺の中にあった“躊躇い”は全て取り払われていた。


ゆっくりと近づくと、美晴の目はそっと閉じられる。


そして、触れ合う瞬間………


美晴はぐっと俺を押し返し、俯いた。


あまりに急なことで理解するのが遅れてしまう。


美晴を見ると、今にも泣き出しそうな顔をしていて………。