美晴は樹さんを拒絶していない。


それは俺に対してどう思っているのかが嫌でも思い知らされる。


一瞬行くのをためらったが、美晴の表情がふと心に引っかかった。


………顔色が、よくない。


どこか苦しげにも見えるその表情を見ると、俺の足は自然に動いていた。


「樹さん、梨花さんが呼んでましたよ。」


自分でもびっくりするぐらい、低く不機嫌そうな声がでた。


樹さんの腕を掴む手にも力が入る。


何、してるんだ俺は。
こんなあからさまな嫉妬をしてしまう自分が腹立たしい。