なんて美晴のことばかり考えていたからだろうか。


こんな遅い時間で人通りがほとんどない道の向かい側から街灯に照らされるようにして歩く美晴の幻覚が見えた。


暗闇の中、光に照らされた彼女はミステリアスで目を奪われるほど綺麗で………


「美晴?」


思わず幻覚の彼女の名前を呼んでしまった。


何をやってるんだ俺は。
もしかして俺が疲れてるのか?


なんて思っていたら、俺の声に反応し美晴がこちらを向くなり驚いたように目を見開く。


…………は?


もしかして、幻覚じゃない?


俺は走りながら美晴に近づくと今度は向こうが話し出した。


「幸也……?
こんな時間に走ってるの?」


やっぱり美晴は幻覚ではなく本物だった。