〈野村 幸也side〉
「あら、幸也こんな遅い時間にどうしたの?
もしかして走りに行くのかしら。」
玄関で座りながら靴紐を結ぶ俺の格好を見て話しかけてきた母さん。
「そうだよ。」
「もう遅いんだから気をつけなさいよ?」
「うん、わかってる。」
そう言っておもむろに立ち上がり、俺は外へと出た。
………昼は夏間近のため暑いが夜だと少し涼しいこの時期。
走るのにちょうどいい気温だった。
できれば無心か、バスケのことを考えながら走るべきなんだろうけど……
頭に浮かぶのは美晴のことだ。
最近、疲れてるのか体調が悪そうに見える美晴。
それが心配でならないけど、美晴自身、自分の体調不良に気づいてないような感じだから危ない。
それとも心配かけさせないように、とわざとの行動なのか………。