優しい君は今日も嘘をつく




「どうしたの?らしくないね。」
「……え?」


「ボトルから水溢れてる状態でずっとぼーっとしてるけど大丈夫?」


樹先輩にそう言われ初めてボトルに水が溢れるくらい入っていて、それを持つ手も濡れていることに気づいた。


「さ、最悪……!」


急いでボトルをあげて、水で濡れた手を払う。


「はい、どーぞ。」


そんな私を見た樹先輩がタオルを差し出してくれる。


私はお礼を言ってタオルを借りることにした。


「ははっ、美晴ちゃん服も濡れてるよ?」
「え……!?」


服を見ると、確かに濡れていた。


ど、どんだけぼーっとしてたんだ私は……!!


「タオル、今2枚あるからそれあげるよ。」
「そ、それは悪いです……!」


「いいよ、気にしないで。」
「………必ず明日に返します…!」


「律儀だなぁ、いいって言ってるのに。」


そんなのもらうなんて悪すぎるから、今日帰って真っ先に洗濯しようと決めた。