優しい君は今日も嘘をつく




「いつもこの道通ってるし大丈夫だよ。」
「いいから………ほら、行くぞ。」


断ろうとする私の手を幸也がそっと優しく握った。


部活帰りは幸也が自転車を押しているため、手をつなぐなんてことはしない。


というかできない。


だからこうやって手をつなぐことが新鮮で、いつぶりだろうと思った。


もしかして付き合ってからは手をつないだことないんじゃ………ってくらい。


もちろん私たちは付き合ってるけれど、キスとかもしたことない。


手をつながれるだけで鼓動がはやくなる。


もう高校生になったというのに、私はまだまだ子供だ。