優しい君は今日も嘘をつく




「なんか、今日試合出れたのも、シュートいっぱい決めれたのも……


全部美晴のおかげ。


美晴がいなかったら、多分今頃挫折してたような気がする。」



まさかそんなことを言われるとは思ってなくて、泣きそうになる。



だって……



今日この日まで、決して楽な道じゃなかった。



やっぱり怪我の期間は大きかったのだ。



思い出しただけで余計に泣きそうになる私を、幸也はそっと抱きしめた。



「本当にありがとうな。
もう、感謝しかない。」



抱きしめ方は優しくて、あたたかくて………



少しの間その状態だったけど、一度少し離れ目を合わせる。



そして………



どちらからともなくキスを交わし、もう一度目を合わせて笑った。



「………美晴、」
「なに?」



幸也が優しく微笑みながら私の名前を呼んだ。



「………好きだよ。」



前までは嘘だと思っていたこの言葉。


今なら本当だと思えるし、だからこそストレートな言葉に照れてしまう。



でも今日はせっかく勝ち残れたのだ。



私だってたまには幸也に気持ちを伝えないとな。



そう思い、私も自然と微笑んで………



「私も……幸也が好き。」



だから私も想いを伝える。



好きだよって、言葉にして伝えることはこんなにも照れくさくって、だけど言われると心があたたかくなって………



その度に自覚するんだ。



どうしようもなく幸也が好きなのだと……。






END