優しい君は今日も嘘をつく




「何がですか?」



梨花先輩の言葉に対し、聞き返す。



「美味しいところは先輩に渡したところ。」



………最後、幸也がフェイントをかけて樹先輩にパスをだしたことだろうか。



確かにあれはびっくりしたなぁ。



「あれってある意味すごいよね。


残り時間わずかの時に、幸也くんが奪ったボールを樹に託したんだよ?


相当なプレッシャーを幸也くんは樹にかけたことにならない?」



………確かに、言われてみればそうかもしれない。



だけど樹先輩はそんなプレッシャーに打ち勝ったのだ。



というか……



「樹先輩、幸也からパスがくるってわかってるように見えませんでした?」



「………あ、やっぱり美晴ちゃんもそう思った?当たり前のようにパス受け取ってたよね。


2人の連携、ってやつ?」



なんだかんだ気が合うんだね、と言って梨花先輩は笑った。


やっぱり樹先輩と幸也は信頼しあってるんだなと思い、私もつられて笑った………。