優しい君は今日も嘘をつく




「あ、はい……こんばんは……っ!?」


そしたら突然、勢いよく抱きしめられる。


「すっごい綺麗になって………。
美晴ちゃんはお母さん似なのね……」


「………っ!」



そうだ。
幸也のお母さんは私のお母さんを知っている人なのだ。


いつぶりだろう。


おばあちゃん以外で、お母さんのことを知っている人と会ったのは。


「よくここまで乗り越えてこれたね。
辛かったでしょう……?」


お母さんと歳が近いからだろうか。


私のお母さんを思い出してしまい、涙がでそうになる。


「母さん、美晴が泣くだろ?
美晴はこういうのに弱いんだから。」


顔は抱きしめられてて見えてないはずなのに、幸也にはお見通しのようで……


「あら、そうなの?
ごめんなさいね……」


幸也のお母さんが私から離れたから、急いで涙を引っ込めて笑う。


「全然大丈夫ですよ。
お久しぶりです。」


「………こんな綺麗な子が私の息子の彼女なんてもったいないわぁ。」


幸也のお母さんは、幸也に似た笑い方をした。


こんなかっこいい幸也の親だ、もちろん綺麗だった。