優しい君は今日も嘘をつく




「そっか……。
じゃあまた明日ね。」


離れたくない気持ちが膨れ上がる前に帰ろうとしたら……



「まって、なんで帰ろうとするんだ?」


幸也に腕を掴まれ、引き止められる。


「え、だって親が来てくれるんでしょ?」


「うん、だから美晴も乗ればいいじゃん。
家も近いんだし。」


私も、乗る……?
幸也の親とご対面ってこと……!?


実は結構な頻度で病院に行ってる私だけど、幸也のお父さんしか会ったことはない。


お母さんは昔以来、会ってないのだ。
お父さんだったとしても、車の中では気まずい。


それに……
「そんなの悪いから大丈夫!一人でかえ……」


「幸也!
今終わったばっかなの?」


私が断ろうとしたら、途中で誰かが幸也の名前を呼んだ。


見ると……


「………あら?
あなた、もしかして美晴ちゃん!?」


昔と全く変わっていない幸也のお母さんがいた。