優しい君は今日も嘘をつく




「だから幸也くん、気をつけなよ?
まだみんな2人がより戻したって知らないからね。」


ここでようやく私たちの方を向いた千波ちゃん。


気をつける……?
何に対してなのか、私にはわからない。


わけがわからず、とりあえず幸也の方を見ると……


「それは困るな。」


さっきとは違って、幸也の真剣な表情になぜか寒気がした。


な、なんか怖い……。



「幸也、美晴ちゃん怖がってるぞ?


可哀想に、美晴ちゃんとんでもないやつに捕まったんだな。」


とんでもないやつ……?


もしかして、幸也のことだろうか?


「いつでも俺に乗り換えていいからね。」
そして笑顔を向ける樹先輩。


乗り換える、なんてそんなこと………



「樹さん、何言ってるんですか。


俺が捕まえたんじゃなくて、美晴がこんな俺を選んでくれたんですよ。」


私が何かを返す前に、少し余裕そうな笑みを浮かべながら樹先輩を見て話す幸也。