優しい君は今日も嘘をつく




なんで?
なんで幸也なの……?


また、私は大好きな人を失うの……?


あの頃の記憶が今の自分と重なってしまう。


「い、嫌……!」


思い出される、昔のこと。
電話から聞こえたおばあちゃんの震えた声。


お父さんとお母さんが、亡くなったという事実。


思い出したくないあの時にも、幸也はずっと私のそばにいてくれた。


どうしたらいいのかわからなかった私を落ち着かせ、病院まで連れて行ってくれて………



「美晴ちゃん。」



崩れる私の前で、樹先輩がしゃがんだ。



「キャプテンの話、聞いてた?
そんな追い詰めないでよ。


幸也は命に別状はないって。」


命に、別状はない……?


じゃあ幸也は……
「生きてるんですか……?」


「そうだよ。」


そう言って頷いた樹先輩を見て、心の底から安心した。


じゃあなんで、キャプテンも顧問もあんな表情してたんだろう。


だけどその疑問は次の樹先輩の言葉で解決され、同時に………


また、泣きたくなった。




「だけどね。
足に重傷を負ったみたいなんだ。」



確かに、樹先輩はそう言ったんだ………。