「そんな顔するなよ。」


私の暗い表情を見て、幸也も切なそうな顔をした。


こんな顔をさせてるのは私だ。


もし千波ちゃんなら………幸也にこんな思いはさせないのだろうな。


「………っ、ごめん……」


「本当に小さいことだから、気にすんなよ。小さい男だって思われたくないんだよ。」


そう言って私の頭の上に手を置く幸也。
まるでさっきの樹先輩のように………。


「好きだよ、美晴。」


そして優しい声音で私を安心させるように言う幸也。


………そんなの、私も好き。
というか私は好き。


ねぇ幸也、無理して嘘つかなくていいんだよ?


幸也は優しいから、今日も私に好きだと嘘をつく………。