優しい君は今日も嘘をつく




「実は、美晴に聞きたいことがあるんだけど。」


聞きたいこと……?


だからまだここにいるのだろうか。
いや、そうとしか考えられない。


「………何…?」


「美晴の好きな人って、樹さんだよな?
付き合ってるわけだし。」


一瞬、ドクンと心臓が嫌な音を立てる。


なんで、いきなりそんなこと……。


違うよ、好きな人は幸也。
樹先輩とは付き合ってない。


だけどそれを言ったところで、困らせて終わるだけだから。


「………そうだよ……。」


そう思えば、簡単に嘘をつける自分がいた。
なるべく平静を装って。


そして幸也の次の言葉を待っていたら………



「でもそれって、嘘なんだよな?」



と言われ、あまりに衝撃的すぎて理解するのに数秒かかった。