ーー「できたよ、固定されてるから痛みはあまり感じないと思う。」
結局幸也にテーピングを巻いてもらった。
幸也は手際よくて、慣れているようだった。
静かな空間が耐えられなくて
「慣れてるね。」と聞くと
「中学はマネージャーいなくて自分たちでやってたから。」
と返された。
……確かに、中学生の時はそもそも全部活マネージャーがいないとこの方が多かった。
「美晴、どうする?
俺は戻るけど美晴は無理しない方がいいから教室かここにいとくか?」
まだ心配そうに私を見る幸也。
そんな……
「私も戻るよ。悪いし………」
そしたら幸也に
「それはダメ。」と言われてしまった。
今日は否定の言葉が多い気が……。
「いくらテーピングしてるからって痛いのは痛いだろ?
悪化するのもよくないから、動かない方がいいよ。」
心配、してくれてるのだと思う。
だけど今はそんな心配されてるのでさえも、苦しい。
足なんかよりも、ずっと胸が痛いんだ。



