優しい君は今日も嘘をつく




だから仕方なく、保健室に行こうと思い一歩足を前に出すと………


「………っ!?」


鈍い痛みに耐えられなくて、体がまたふらつく。
そんな私をまた支えてくれる幸也。


「………無理しなくていいって。
歩けないんだろ?」


「ご、ごめん……。
でも我慢すれば歩けるから……!」


合宿の時みたいに体を預けるなんてこと、さすがに2回もできない。


全力で否定すると、幸也は大きくため息をついた。


………相当、呆れられてる?


そしたら突然、幸也が近づいてきて私の耳元でそっと囁いた。




「じゃあ、俺にこのまま抱きかかえられるか、背負われるかどっちか選んで。」



いつもよりも少し低く落ち着いたトーンに、思わず体がビクッと震えた。


い、今幸也はなんて……?